不動産業界の仕事を知ろう

アセットマネージャー(AM)の仕事内容と資格の難易度や年収はどれぐらい?

こんにちは、不動産キャリア事務局です。

日々の生活でアセットマネージャーという言葉を聞くことはほとんどないでしょう。

しかし、不動産業界においてこのアセットマネージャーは希少な存在であり、誰でもすぐに就ける職業ではありません。

また、不動産業に従事されている方でも、アセットマネージャーという言葉にピンとこない人もいらっしゃるでしょう。

このアセットマネージャーという謎の仕事について今回は解説いたします。
不動産業に従事されている方のみならず、金融や保険や投資に興味がある方はぜひ最後までお読みください。

※本項では不動産業界において不動産を取り扱うアセットマネージャーについて解説いたします。

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アセットマネージャー(AM)って何?

まずは、アセットマネージャーという職業について解説いたします。

アセットとは資産。マネージャーとは管理者。

じゃあ資産って何よ?と問われると答えは一つ、家賃が発生している物件のことです。
どうやら、アセットマネージャーとは賃貸物件の管理者を指す言葉だ、ということができます。

しかし、賃貸物件の管理者は、プロパティマネージャーがいるじゃないか、と思われた方、鋭いです。

どちらも賃貸物件の管理者ですが、管理の意味が少々異なるのです。

賃貸物件の現場での運営を行うのがプロパティマネージャーであるのに対し、アセットマネージャーは賃貸物件の戦略を考えるのです。

アセットマネージャーとプロパティマネージャーの関係は、スポーツチームの監督と選手のような関係に例えることができるでしょう。

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アセットマネージャー(AM)はなぜ生まれたのか

聞きなれないアセットマネージャーという職業はなぜ生まれたのでしょうか。

それは、不動産の特性と時代の移り変わりに答えがあります。
アセットマネージャーを理解するためにも、少し難しい話ですがお付き合いください。

不動産が高額な投資商品であること

ご存じのとおり、不動産を取得し運用しようとすると、莫大な初期費用がかかります。

到底、一般のサラリーマンが賃貸マンション一棟を購入することなどは、夢のまた夢です。

サラリーマンからすれば賃貸マンション一棟を購入することが困難であるように、企業や投資家がさらに大きな賃貸物件を購入することもまた困難なのです。

賃貸物件は、投資市場では魅力的な投資対象商品です。

しかし、高額であるがゆえに市場に流通しづらいという弱点を克服する必要性があったのです。

投資機運の高まり

一方世間では、投資に対する世間からの注目も集まり出していました。

そこで、賃貸物件を一棟ごとに売買するのではなく、賃貸物件から発生する家賃をゲットする「権利」を小分けにして株のように販売することにしたのです。

いつでも売買できる一口馬主、イメージはそんなところでしょうか。

このように賃貸物件から発生する収益を権利化させて市場に流通させることを不動産証券化といいます。

アセットマネージャーの誕生

投資家からお金を集めて賃貸物件を購入し運用することになると、誰かが意思決定しなければなりません。

この意思決定は、投資家からの資金をもとに運用するため賃貸物件の収益を最大化させるものでなくてはなりません。

  • 具体的には、どこにどのような物件を購入するのが良いのか。
  • 購入後はどのような戦略で運用するのか。
  • いつ売却すれば、売却益がどのくらいでるのか。

こういった戦略を考え、意思決定するためにアセットマネージャーが誕生したのです。

アセットマネージャーの仕事内容

アセットマネージャーの歴史が少しだけわかったところで、アセットマネージャーの仕事内容をご紹介いたします。

1.購入物件の選定

どの物件を購入するかを選定し、決定することがアセットマネージャーの仕事の一つです。
ここでいう選定は、単純に物件を選べばよい、ということではありません。

投資家の出資金で購入するわけですから、外観がかっこいいから、という理由で購入することは許されません。
その判断は非常にシビアであるべきです。

立地にリスクはないか、建物は遵法性に則られているか、賃貸市場での優位性はあるか、主要入居者の属性に懸念はないか。

調査すべき事項は多岐にわたります。

2.賃貸物件の運用

購入した賃貸物件をいざ運用します。

運用といっても、実際の賃貸管理業務を執り行うのはプロパティマネージャーであり、アセットマネージャーが何かしら実務に手を下すことはほとんどありません。

なお、実際に現場で賃貸管理業務を行うプロパティマネージャーの選定もアセットマネージャーの重要な仕事の一つです。

賃貸物件の運用においてアセットマネージャーが考えるべきはただ一つ、収益の最大化です。

  • 空室があればどうすれば早くそして高い賃料で成約することができるのか。
  • 各種工事の金額や内容は妥当か否か。
  • 当初想定した予算と乖離が生じたときは、どのようなリカバリー案を準備するのか。

運用実務においては、プロパティマネージャーから月次でレポートが提出されます。

月次で提出されるレポートをもとに、概ね月に1度はアセットマネージャーとプロパティマネージャーは打合せを行い、運営状況を相互に確認し協議を行います。

このような記載をするとアセットマネージャーとプロパティマネージャーには上下関係があるように思われるかもしれませんが、実際はパートナーであり、露骨な上下関係は存在していません。

むしろ、アセットマネージャーとプロパティマネージャーの関係が悪化しているとき、賃貸物件の運用がうまくいくはずがありません。

プロパティマネージャーに気持ちよく業務をこなしてもらえるようにコントロールすることも、アセットマネージャーの力量の一つということがいえるでしょう。

3.運用賃貸物件の売却

運用形態や運用物件にもよりますが、基本的に運用した物件は数年で売却活動を行います。
この売却活動もアセットマネージャーの重要な仕事の一つです。

なぜアセットマネージャーにとって売却活動が重要な仕事なのかを説明します。

ある賃貸物件を購入し運用するとき、そもそも購入金額の全てを事前に準備できていることなど稀ですので、銀行から融資を受けることも当然考えられることです。

運用物件の売却価格も最大化することで、運用中の家賃収入と同じかそれ以上の利益を生み出すことも可能になることは想像にたやすいところで、売却活動の重要性を理解頂けるのではないでしょうか。

また、物件の運用方針によっては売却活動勝負という戦略が採用されることもあります。

例えば新築賃貸物件であれば、家賃収入が目当てということが理解できます。
築年数の浅いうちに売却しますので、ある程度売却金額を予想することも可能でしょう。

しかし、あえて古い物件を購入し、外壁などをやりかえ、室内もリノベーションして、家賃収入を数年間かけて改善させ、購入金額よりも大きな金額で売却する戦略の場合はどうでしょうか。

家賃収入ももちろん目当てですが、売却額が重視されることは一目瞭然です。

売却活動は運用賃貸物件の収益最大化シナリオの集大成となる部分ですので、アセットマネージャーにとって非常に重要な仕事であるといえます。

アセットマネージャーになるには

大きな仕事にチャレンジできるアセットマネージャーになるにはどうすればよいのでしょうか。
また、アセットマネージャーの年収はどのくらいあるのでしょうか。

アセットマネージャーに必要な資格

アセットマネージャーになるために必要な資格は、実はありません。
広範なスキルと知識が必要になるところ、資格よりは関連知識の方が求められる傾向が高いといえるでしょう。

一方で以下のような資格をもっていると、アセットマネージャーへの就職や転職に有利に働く可能性があると思われます。

  • 宅地建物取引士
  • 不動産鑑定士
  • 不動産証券化協会認定マスター
  • 証券アナリスト

アセットマネージャーに求められるスキルや知識

アセットマネージャーは賃貸物件の運用に関わる全てのスキルと知識が必要になります。

不動産売買や賃貸、建物設備、金融に関する知識も求められることになるでしょう。

また、アセットマネージャーという職業上、コンプライアンスの遵守が求められます。
そのため、不動産・建築・金融の各種法令について理解することも必要です。

求められるスキルも広範ですが、冷静かつ客観的に状況を読み取り、有事が発生したときは即座に対策を講じるスキルが求められるでしょう。

具体的には、中高等以上のパソコンスキル、金融市場や経済市場の把握と未来予測スキル、そして全ての情報をもとに分析するスキルが必要です。

アセットマネージャーに転職するためには

不動産も金融も経験したことがない状態で、アセットマネージャー業に就くことはほぼ不可能です。

未経験の方はまず不動産業もしくは金融業に従事して、知識と経験を積むことにしましょう。
アセットマネージャーに求められるスキルを身に付けることが最短距離といえそうです。

不動産業に従事するのであれば、賃貸管理に従事するのが良いでしょう。

賃貸管理業に従事し、信託物件を担当することになれば、プロパティマネージャーとしてアセットマネージャーが運用する物件の現場を担うことができます。

アセットマネージャーの業務を間近で体感し、賃貸管理業で得た知識とスキルは、アセットマネージャー業に転職する際に有利に働くことが予想されます。

アセットマネージャーの年収は

事業規模にもよりますが、相対的にみて高額であると断言できます。

運用する物件が賃貸用であればそこまで特異なスキルも求められませんが、事業用不動産であったときは特殊な商慣習や法令をさらに理解しておくことが求められます。

運用物件が大きくなり、取り扱う金額も大きくなれば、同様に年収も上がってくることでしょう。

また、賃貸経営自体がそもそもミドルリスクミドルリターンの底堅い投資ではあるものの、運用成果によっても年収が変動する傾向にあります。

ついては、経済市場によっては年収も変動するリスクがあることを覚えておきましょう。

アセットマネージャーは求められるスキルも多いが高年収が狙える

アセットマネージャーは、投資家などからお預かりしたお金を運用する仕事です。

年金受給年齢の引き上げなどをうけ、世間の投資ニーズは高まっています。

かつ、不動産のアセットマネージャーは広範な知識とスキルとコミュニケーション能力が求められますので、誰でも簡単にその仕事につくことはできません。

転職難易度が高い責任のある仕事であるということは、見返りとして得られる年収も高くなります。

中長期的な目線を持つことができれば、未経験であってもアセットマネージャーに就くことは十分に可能です。

ぜひともチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
不動産キャリア事務局スタッフ
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