こんにちは、不動産キャリア事務局です。
一口に不動産業といっても、業界の中で様々な仕事に分かれています。
多くの人は、「新築マンションや戸建ての販売業」「中古マンションや戸建ての売買仲介業」「賃貸物件の仲介業」などを思い浮かべるのではないでしょうか。
その中でも今回は、あまり聞き慣れない「不動産管理業」という仕事について、説明していきたいと思います。
不動産管理業とは、一体どのような仕事なのでしょうか?
目次
不動産管理業とは
不動産管理業とはその名の通り、オーナーさんに代わって不動産(=物件)を管理する仕事です。
物件は、マンション・ビル・戸建て・駐車場・商業用店舗など多岐に渡りますが、賃貸物件であることがほとんどです。
もちろん、自分で管理するオーナーもいます。
ただ、オーナーが別で仕事を持っていたり、物件の規模が大きかったり、何軒も所有していたりすると、管理するのが大変になってしまいます。
そこで、不動産管理会社に管理を委託したい、という流れになるのです。
こうしてオーナーの持ち物である不動産(=物件)を代わりに預かり、「管理・運営」することが、不動産管理業としての主な仕事になります。
オーナーの特徴
オーナーは個人の場合もあれば、法人の場合もあります。
法人の場合は、会社名義で物件を所持していることになります。(「オーナー会社」と呼んだりします。)
法人の場合は、賃貸物件(マンションやビル)を一棟丸ごと買い取り、買い取ったときよりも高値で売ることを目的にしていることが多いです。
その間の「管理・運営」の部分を、管理会社が委託されることになるのです。
(会社によっては、買い取りも管理も自社で行う場合もあります。)
オーナーが個人の場合は、あまり売却は考えていないことが多いです。
不動産を所有していても、不動産の知識がないオーナーも多くいらっしゃいます。
管理会社はそんなオーナーに代わって、経験・知識・資格等を生かして、物件の管理を任されることになるのです。
不動産管理業の仕事内容とは
では、不動産管理業の詳しい仕事内容とはどういったものでしょうか?
不動産業と聞くと、厳しいノルマがあることを想像する方も多いかもしれません。
販売業や仲介業においては、会社によってそのようなノルマが設定されていることも少なからずあるでしょう。
ただ、不動産管理業においては、あまりそういったことは聞きません。
その代わり、オーナーが個人であっても法人であっても、物件の収益を上げたいというのが共通した望みです。
そのため、そういったことは結果として求められることになるでしょう。
主な仕事内容は、
- 空室の管理・募集業務
- 入居希望者の仲介・内見
- 入居者の契約業務・更新業務
- 賃料の集金
- 入居者の要望・トラブル等の対応
- 共用部分や室内における設備の修繕対応
- 入居者の解約業務・退去立ち合い
- 収益のレポート作成
など、多岐に渡りますので、詳しく解説していきます。
空室の管理・募集業務
空室があるとその分、賃料が発生しないため収益が下がることになります。
空室が出たらすぐに募集をかけて、迅速に次の入居者を探すことが必要です。
その際、賃料の設定やどのように募集するかなど、オーナーと話し合って決めることになります。
入居希望者の仲介・内見
入居希望者がいれば、物件の案内をして一緒に部屋の内見をします。
会社によっては、この仲介業務を外部に委託することもあります。
入居者の契約業務・更新業務
昨今は連帯保証人を立てずに、保証会社に加入してもらうことが主流になりつつあります。
保証会社に加入すれば、入居者が賃料を滞納した場合、保証会社が代わりに弁済してくれるのです。
滞納分を取り立てる必要もなく、未払いのまま泣き寝入りすることもなくなるので、オーナーも安心して部屋を貸すことができます。
そのため、入居の申し込みがあれば、ほとんどはまず保証会社の審査をかけることになるでしょう。
最終的な入居の可否はオーナーが判断します。
ただ、募集の段階である程度のすり合わせはしているので、保証会社の審査が通れば、基本的には契約に進むことが多いです。
無事入居が決まれば、契約書の読み合わせ、重要事項説明をして契約を結びます。
その際に、家財保険の契約なども案内します。
賃貸物件には、長く住み続けると更新業務があります。
その際もオーナーと話し合い、新賃料や、契約内容に変更がないかどうか確認します。
問題がなければ新しい契約書を作成し、更新手続きを進めることとなります。
賃料の集金
オーナーに代わって入居者の賃料を回収します。
回収と言っても、昨今は口座振替の手続きをしていることも多いです。
保証会社に加入している入居者の分は、保証会社からまとめて振り込まれます。
未納分があれば催促したり、保証会社に加入していれば弁済振り込みの手続きを行ったりします。
入居者の要望・トラブル等の対応
入居者からの要望があれば、対応します。
入居者間のトラブルも、管理会社が間に入って対応することとなります。
音の問題や、迷惑行為に対するトラブルなどが多いです。
自分たちで解決できない問題は、オーナーにも相談します。
まれに、近隣住民からクレームが入ることもあり、臨機応変に対応することが求められます。
基本的には入居者の方が気持ちよく生活できるよう、問題があれば迅速に対応するようにします。
共用部分や室内における設備の修繕対応
基本的に、物件設備の修繕はオーナーの義務になります。
(入居者が故意に故障させたものは除きます。)
物件の設備が故障した場合、オーナーに伝えて修繕してもらいます。
オーナーが自ら業者を依頼することもあれば、管理会社に一任することもあります。
その場合は、入居者から故障の内容を聞き取り、自社で業者を手配することになりますが、費用はあくまでオーナーの負担になります。
入居者の解約業務・退去立ち合い
入居者が解約する際、その手続きをします。
退去立ち合いをして、修繕箇所やハウスクリーニングの金額を確認し、見積もりを出します。
保証金や敷金からそれらを差し引いた金額を、退去した後、入居者に返金することになります。
収益のレポート作成
物件ごとに毎月「収益のレポート」を作成し、オーナーにお渡しすることになります。
もちろん管理委託契約の内容によりますが、この収益レポートと併せてオーナーに毎月回収した賃料をお渡しします。
不動産管理業のお休みは?
不動産業は、火曜・水曜がお休みである印象が強いのではないでしょうか。
(豆知識ですが、物件は火や水を嫌います。)
しかし不動産管理業は、土日祝日を休みにしている会社も多く見られます。
そのため、年間休日が120日を超える会社も多く、非常に働きやすいと感じる人も多いのではないでしょうか。
ただ、入居者の解約立ち合い業務は土日に行われることが多いため、そのときには休日出勤して対応することになります。
不動産管理業のやりがいは?
不動産管理業はオーナーの大事な物件を預かり、代わりに「管理・運営」する仕事です。
オーナーに安心して物件を任せてもらうこと、喜んでもらうことにやりがいを感じる仕事だと言えるでしょう。
物件を満室にすること
どのオーナーも、自分の持っているマンションやビルを満室にして、賃料収入を増やしたいと希望しています。
そのため、まずは満室稼働に尽力することが大切です。
また、不動産管理業は、賃料収入の何%かを管理委託料としていただく仕組みになっていることが多いです。(管理委託契約の内容によります。)
物件を満室にすることは、オーナーに喜んでいただくだけではなく、自社の利益にも繋がることとなります。
その結果、さらにやりがいを感じることになるでしょう。
人助けになること
また、不動産の知識を生かして、オーナーや入居者のトラブルを解決することは、人助けにもなります。
話を聞いたり気持ちに寄り添ったりしてトラブルに対応すると、人に感謝され喜ばれます。
人との関わりの中で、直接「ありがとう」と言ってもらえるので、人の役に立てたことを実感しやすい仕事でもあるでしょう。
不動産管理業に向いている人とは?
賃貸物件(マンションやビル)の「管理・運営」をする仕事なので、まず不動産の知識があることが望まれます。
ただ、必ずしも必須条件というわけではなく、未経験から始める人もいますし、引き継ぎを丁寧にしてくれる会社も多くあるでしょう。
有利になる資格
資格で言えば、宅地建物取引士の資格があることが一番望ましいです。
不動産の仕事は、この資格がなければできない仕事も一定数あるからです。
(※契約時の重要事項説明は、宅地建物取引主任者証の提示が義務付けられています。)
また、不動産会社は宅建業法で、社員の5人に1人は「宅地建物取引士の資格保持者でなければならない」という決まりもあります。
そのため、会社として資格保持者は、間違いなく欲しい人材になるのです。
重要視される人柄とは
資格や知識、経験も大事なのですが、この仕事は人柄も大変重視されるといって間違いありません。
様々なオーナーとうまく付き合えること。
オーナーと入居者の間に入って、うまく折り合いをつけること。
人付き合いが得意なことや、問題解決能力があることが重視されるでしょう。
決まりきった仕事というよりは変化のある仕事になるので、臨機応変に対応できることや、柔軟なコミュニケーション能力があることが重要視されます。
こういったことが得意な場合は、是非アピールしましょう。
資格や知識は働きながら身に着ければいい、と考えてくれる会社も多いので、転職にも有利に働くことがあるかもしれません。
転職する際に注意したいこと
不動産管理会社といっても管理業だけではなく、賃貸仲介業や中古物件売買業など、いくつかの業務を併用して行っている会社も多くあります。
不動産業といっても、業務が変われば仕事内容も大きく変わってきます。
転職の際にはどの業務を行うことになるのか、確認することを忘れないようにしましょう。
まとめ
不動産管理業の仕事内容について、主にまとめてきました。
管理業は、オーナーの物件を代わりに「管理・運営」する仕事です。
仕事ではオーナーをはじめ、入居者や、保証会社、修繕業者など様々な人たちと関わることになります。
入居者のトラブル対応にも関わることになりますので、柔軟なコミュニケーション能力が求められるでしょう。
決まり切った仕事というよりは、変化のある仕事になります。
そのため、知識や能力を生かして、動きのある仕事をしたい人にはピッタリだと思います。
未経験でも採用されるチャンスがありますので、気になった人はぜひ1度チャレンジしてみてください。