こんにちは、不動産キャリア事務局です。
不動産業界の登竜門的な資格である宅地建物取引士(以下宅建士)。
この資格がないと不動産業界では一人前と認められないようなところもあり、日々宅建の勉強に勤しまれている方も多いのではないでしょうか。
しかし、この宅建なる資格、本当に不動産業界で役に立つのでしょうか。
今回は、不動産業界で宅建資格を有することの意味と、業務内容について解説いたします。
これから不動産業界で働きたいと思っている方も、不動産業界で別の業種を検討している方にも役立つ記事になっています。
ぜひ最後までお読みください。
キャリアアップのヒントになること間違いなしです!
目次
宅建は役に立たないのか?
宅建の資格が最も役に立つのは「不動産業界」です。
不動産業を営むとき、不動産業に従事する担当者の5人に1人は宅建の資格を保有していないといけない、というルールが存在しています。
- 従事する担当者が3名のときそのうち1名は有資格者であることが求められます。
- 従事する担当者が8名のときそのうち2名は有資格者でないといけない。
つまり不動産業を営む会社にとって、取引士の数は会社の業務規模を左右する至上命題なのです。
取引士がいない会社は事業を縮小せざるを得なくなります。
そういった法的要請を背景に、不動産業を営む会社は社員に対して宅建の資格取得を推奨しているのです。
宅建が役に立たない・意味ないと言われる理由
ではなぜ、宅建が役に立たない・意味がないと言われるのでしょうか?
宅建を持っていても珍しくないから
- 国土交通省によると、2022年3月末時点での宅建士は128,597人
- 2023年度の申込者は289,096人(参考:不動産適正取引推進機構)
と、全国から受験される資格です。
国土交通省の過去5年のデータを見ても、宅建士の割合は右肩上がりとなっています。
そのため、宅建を取得して不動産業界への転職を目指していても、約130万人が宅建の資格を持っているため珍しくないとされることもあります。
不動産営業では、実力の方が重視されるから
業界問わず会社が求める人材は、売上に貢献する人・即戦力となる人です。
特に、不動産業界では取得している資格よりも、実力が評価されやすい業界です。
売上がイマイチな宅建士と、売上が良い宅建なしの営業だと、後者が評価されやすいのは一目瞭然でしょう。
つまり、資格の有無より、無資格でも売上貢献が期待できる人材の方が会社からは大切にされるのです。
宅建士の仕事はきつい?つらい?
宅建の資格が一番役立つ不動産業界ですが、『給料は高そうだけど、きつくて、つらくて、なんだかブラックな業界』という印象を持たれている方は多いのではないでしょうか。
一昔前であれば、それは大正解だったと思います。
しかし、不動産業界も含めてどの業界でも働き方改革が進んでいますし、営業職以外にも様々な職種が存在するので、自分に合う職種はどれか見ていきましょう。
やりがい十分な「営業職」として働く
不動産業界と言えば営業職、とイメージする方は多いのではないでしょうか。
この営業職に対するノルマや残業などが、業界をブラックな印象にしている可能性はあります。
もちろん、営業職なのでノルマがあるのは当然ですし、お客様ありきのビジネスなので契約のために時間調整をすることは必要です。
しかし、昨今は直行直帰や時差出勤、またテレワークやフレックスなどを導入する企業も増えているほど働き方改革がなされているので、営業職を視野に入れやすくなったことでしょう。
不動産業界の営業職と言っても、賃貸仲介・売買仲介など様々な職種があります。
営業をサポートする「事務職」として働く
営業職のようにノルマがあるのはちょっと、という方は事務職という選択肢があります。
書類作成を中心とした事務作業が業務のメインになります。
営業をサポートするという縁の下の力持ち的なポジションで、売上に間接的に貢献することで、数字的なやりがいを感じることもできるでしょう。
会社により異なりますが、事務職であっても資格手当が支給されることが一般的ですし、重要事項説明ごとに歩合のような形で支給されることもあります。
営業職同様、事務職でも営業事務・宅建事務など、様々な職種があります。
会社の規模にもよりますが、事務職でも外出したり時にはお客様対応するなど、部分的に接客対応を任されることもあるでしょう。
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宅建を取るとどう役立つのか?
宅建の資格を取得しても役に立たない理由をご紹介してきました。
しかし、宅建士には独占業務もありますので、間違いなく役に立つ資格です。
では具体的に、宅建の資格がどう活かせるのか解説します。
就職や転職に役立つ
応募できる求人が増える
不動産業界への転職を目指す場合、宅建を取得していると応募できる求人の幅が広がります。
宅建を取得していなくても不動産業界への転職は可能ですが、入社後に取得しなければならないこともあります。
また、宅建事務を希望する場合は、宅建の資格は必須です。
宅建を取得していれば職種問わず、希望する職種へ応募することができるので、就職や転職に役立つと言えます。
面接で有利になる
多数の応募があった場合や面接結果が拮抗している人材がいた場合、宅建士かどうかが最終判断を委ねる場合も十分にあります。
前述の通り、不動産業を営むためには担当者の5人に1人は宅建士でないといけないというルールがあったり、重要事項説明や記名業務といった宅建士の独占業務もあるからです。
クライアントや取引先の信頼を得られる
不動産業界は大金が動く業界です。
一般の人では普段聞きなれない専門用語もたくさん出てきます。
人生で一度の大きな買い物となると人はより慎重になりますし、そんな時に目に見えた信頼につながる資格は重要だと言えます。
職場でのキャリアアップにつながる
どのような業界であっても、必要な資格を持っていると資格手当が支給されます。
不動産業界における宅建士も例外ではありません。
また、宅建士でないと役職がつかないといった方針の会社もあります。
不動産取引の成立には契約行為が不可欠であり、不動産取引の契約行為には、宅建士の独占業務である重要事項説明や記名業務が欠かせません。
宅建の資格を持っていない営業担当者は、社内の宅建士にこの業務を依頼しなければならず、これによって自分のペースとスケジュールで仕事ができなくなります。
意外とこれが働き方に大きな影響を及ぼします。
年収アップが狙える
月3万程度の資格手当の他に、売買仲介や用地仕入れといった職種に就くことで、取り扱う物件も動く金額も変わってくるので収入が増えます。
独立開業や副業にも役立つ
不動産会社で経験を積んだら、さらなる年収アップを求めて独立・開業を目指す方も少なくありません。
宅建士であれば1人で不動産業務をこなせるので、余計な人材を雇う必要もなく、費用を抑えて開業することができます。
また、宅建の資格を活かして、重要事項説明書を読むアルバイト・パートをしたり、Webライターとしてコラムを執筆するなど、副業で活躍している人もいます。
マイホーム購入や、貸したり売る時に役立つ
宅建は、不動産業界に勤めなくても役に立つ場面があります。
家庭を持つタイミングなどで物件購入を検討する機会があったり、その他契約を交わす機会は様々ありますので、そういう場面で役に立ちます。
人生における最大の買い物とも言えるほどの物件購入。
知識があれば失敗する可能性も低くなるでしょう。
他の資格が取得しやすくなる
宅建は、他の資格を取得したい時にも役立ちます。
- FP
- 行政書士
- 不動産鑑定士
- 不動産投資
- 不動産仲介業務の主任者
- 金融関連
- 建築士
など、一部試験内容が被ります。
宅建の資格取得後、知識を忘れてしまう前に気になる資格も受けてみると合格しやすいかもしれません。
ダブルライセンス、トリプルライセンスともなると、収入アップの見込みも高まります!
宅建士の不動産業界での需要
法的な要請もあり、不動産業界内外からも人気の宅建士。
では、不動産業界内における取引士の需要を考えてみましょう。
宅建士の募集概要
結論からお伝えすると、宅建の資格を持っている人は不動産業界では重宝されます。
宅建士が不動産業界に就職しようとするとき、よほど問題がない限り面接もしてもらえない、ということは非常に考えにくいところです。
また、「不動産業従事者の5人に1人は有資格者ルール」は極めて厳格に適用されています。
名義貸しなどはご法度であり、不足した会社は2週間以内になんとかしなさい、これが宅建業法のルールです。
このような背景も、宅建士の高需要に追い風となっています。
宅建士の手当や待遇
会社によって金額は異なりますが、月3万程度の資格手当が支給されます。
入社直後は基本給もすぐには増えない中、資格手当が支給されることはかなりプラスになることでしょう。
また、手厚い会社によっては、重要事項説明をする度に数千円の別途手当を支給されることもあります。
宅建は役に立つし、業務内容も自分に合わせて選択できる
まとめになりますが、宅建の資格が就職・転職市場において役に立たない、というのは俗説に過ぎません。
有利に働きこそすれ、役に立たないわけがありません。
また、不動産業界に対してブラックな印象を持たれているかもしれませんが、それも今は昔。
自分のスタイルに合わせて様々な業種や職種が準備されていますので、安心して不動産業界に飛び込んでください。
せっかく取得した宅建士の資格を活かして、就職・転職活動を成功させましょう。