こんにちは、不動産キャリア事務局です。
日々の生活でアセットマネージャーという言葉を聞くことはほとんどないかと思います。
しかし、不動産業界においてこのアセットマネージャーは希少な存在であり、誰でもすぐに就ける職業ではありません。
また、不動産業に従事されている方でも、アセットマネージャーという言葉にピンとこない方もいらっしゃるでしょう。
今回はアセットマネージャーという仕事について解説いたします。
不動産業に従事されている方のみならず、金融や保険や投資に興味がある方はぜひ最後までお読みください。
目次
アセットマネージャー(AM)って何?
アセットマネジメントは、一般的には資産(アセット)の運用と管理のことを表します。
この中には、不動産などの物理的な資産だけでなく、金融資産も含まれており、その目的は資産の価値を最大化すること!
効率的な利益を生み出すことにあります。
不動産業界におけるアセットマネジメントは、不動産という具体的な資産を対象に、その価値を高め、収益性を向上させる活動のことを言います。
これには、物件の選定、購入、管理、改善、そして売却の全過程が含まれており、その業務を行う方のことを「アセットマネージャー」と呼びます。
※本項では不動産業界において不動産を取り扱うアセットマネージャーについて解説いたします。
プロパティマネジメント(PM)とは違う?
アセットマネジメントとプロパティマネジメントは、不動産投資において異なる役割を果たします。
アセットマネジメントは、投資用不動産の価値を最大化することに焦点を当て、長期的な視点で資産を運用・運営・管理します。
一方で、プロパティマネジメントは日常的な賃貸経営における具体的な実務業務を担います。
仕事内容としては、
- 入居者の募集や管理(空室率、解約率を下げたり、家賃を適正な範囲で最大化する)
- 物件の管理(物件の価値が下がらないように適切に管理する)
などが挙げられます。
行う業務は異なりますが、両方とも物件の資産価値最大化に向けて、それぞれの専門性を活かしながら協力し合う関係性といえるでしょう。
アセットマネージャーの業務とは?
アセットマネージャーの業務は多岐にわたり、投資家やオーナーさんの代理として、不動産の取得から運用、売却までの一連の流れを総合的に管理する業務です。
不動産の資産価値を最大化して利益を生み出すことが仕事になるため、最適な運用計画を立て、プロパティマネージャーと連携しながら日々の運用業務を監督していきます。
担当物件が賃貸物件だった場合、入居率向上に向けて不動産仲介会社と関係構築を図ることも必要でしょう。
また、商業施設だった場合には、そこに入っているテナントの売上向上や、商業施設への顧客集客なども分析した上で運用計画を立てていきます。
このように担当物件ごとに仕事内容が変化する可能性はありますが、資産価値最大化に向けて日々取り組んでいく業務になります。
アセットマネージャーの仕事内容
具体的な仕事内容について説明します。
アセットマネージャーの仕事には大きく分けて下記のような3つの仕事があります。
- 不動産の買い付け
- 不動産の運用
- 不動産の売却有無
「買い付け・運用業務」と「売却業務」で業務を分ける企業が多いですが、3つ全ての業務を行う企業もあります。
不動産の買い付け
不動産の買い付け業務は「アクイジション」ともいわれ、不動産の取得、買い付け、仕入れなどを行います。
具体的な業務としては、
- 投資家のニーズに合わせた最適な物件探し
- 物件を持っている方への買い取り交渉
などがあります。
また、物件の調査や査定を行い、投資に関する分析からファンドの開発、並行して投資家への勧誘活動も行います。
不動産の買い付けには、不動産相場を見極める力や不動産の変動を見通す力が必要とされます。
投資家からの信頼を得るためにも重要な仕事といえるでしょう。
※ファンド:投資家から集めた資金を元に投資し、得られた収益を投資家に還元する投資の形態
不動産の運用
不動産の運用業務は「期中運用・管理」ともいわれ、買い付けした不動産を適切に運用する業務になります。
投資家の立場に立って、不動産の価値を維持、または向上させるために、物件の改修や賃料の適正化を行います。
プロパティマネージャーと協力しながら物件の収益性をあげていく大事な仕事です。
その他にも投資家への運用結果の報告や投資不動産に対する資金計画、決算、配当など多岐に渡る業務に携わります。
不動産の売却
運用している不動産を適切なタイミングで売却することもアセットマネージャーの大切な役割です。
不動産売却は「ディスポジション」とも呼ばれ、物件の資産額を策定し、買い手の調査や交渉、売却までを担当します。
不動産を現金化した後は、新たに資産を最大化するために再投資を行ったり、場合によっては売却した資金を投資家に分配することで運用を終了するような場合もあります。
アセットマネージャーになるには
アセットマネージャーに転職するコツ
不動産も金融も経験したことがない状態で、アセットマネージャーに転職することはかなり難しいです。
未経験の方はまず不動産業もしくは金融業に従事して、知識と経験を積むことをおすすめします。
アセットマネージャーに求められるスキルを身に付けることが最短距離といえるでしょう。
もし、不動産業に従事するのであれば、賃貸管理業務に従事するのが良いでしょう。
賃貸管理業に従事し、信託物件を担当することになれば、プロパティマネージャーとしてアセットマネージャーが運用する物件の現場を担うことができます。
アセットマネージャーの業務を間近で体感し、賃貸管理業で得た知識とスキルは、アセットマネージャーに転職する際に有利に働くことが予想されます。
アセットマネージャーに必要な資格
アセットマネージャーになるために必要な資格は、実はありません。
広範なスキルと知識が必要になるところ、資格よりは関連知識の方が求められる傾向が高いといえるでしょう。
ここでは以下のような資格をもっていると、アセットマネージャーへの就職や転職に有利に働く可能性がある資格を紹介します。
- 不動産鑑定士
- 証券アナリスト
- 不動産コンサルティングマスター
- 不動産証券化協会認定マスター
アセットマネージャーに求められるスキル
アセットマネージャーは、賃貸物件の運用に関わる全てのスキルと知識が必要になります。
不動産売買や賃貸、建物設備、金融に関する知識も求められることになるでしょう。
ここでは、アセットマネージャーとして必要とされるスキルについて紹介します。
継続的に学ぶ力
不動産市場に関する専門知識だけでなく、社会情勢や景気動向、法令などの専門知識を常に最新の状態に保つ必要があります。
専門知識の習得においては「アセットマネージャーに必要な資格」でも紹介したような資格の取得を通じてスキルアップを図ることも重要です。
また、それ以外に、不動産市場や日本経済の動向にも目を向け、継続的に学習する姿勢が求められます。
コミュニケーション能力
アセットマネージャーは、専門知識を持ったお客様や関係者に対して、論理的にわかりやすく情報を伝える必要があります。
また、協力関係にあるプロパティマネージャーとの連携をスムーズに進めるためにも、効果的なコミュニケーションスキルが求められます。
分析能力
お客様の資産価値を最大化させるにあたり、数値を分析するスキルは不可欠です。
運用計画の立案や分析、管理には、プロパティマネージャーと協力しながら、独自の数値分析能力を持って業務を進めることが求められます。
アセットマネージャーの年収は?
経験やスキルによっても年収に大きな差が生じますが、不動産業界でのアセットマネージャーの年収は600〜700万くらいであることが多いです。
ただし、経験豊富な方やリーダー経験がある方は、より高い年収を期待できたりと年収幅は大きいです。
一方で、社会人経験が浅い方は、成長性のある企業での就職やスキルの向上によって収入アップにつなげていく!なんてこともあります。
実際に転職を検討する場合、まずはご自身のスキルや知識、経験を振り返っていただき、しっかりと情報収集を行うことが重要です。
理想の転職を成功させるために叶えるために、キャリアアドバイザーに相談するのも一つの方法としておすすめします。
アセットマネージャーへの道のりは?
アセットマネージャーは、投資家などからお預かりしたお金を運用・管理することで利益を追求していく仕事です。
広範な知識とスキル、コミュニケーション能力が求められますので、誰でもできる仕事ではありません。
しかし、不動産や建物設備、金融に関する知識と経験を身に付けることで、目指すことはできます。
中長期的な目線を持つことができれば、未経験であってもアセットマネージャーに就くことは十分に可能といえるでしょう。
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