こんにちは、不動産キャリア事務局です。
就職・転職の幅を広げたい人向けの資格の一つでもある宅建の資格。
宅建とはどんな資格で、どんな仕事に役立つのでしょうか。
宅建の仕事内容や宅建士に求められるスキルなどを解説していきます。
目次
宅建とは?宅建士の仕事内容を紹介
宅建または宅建士は宅地建物取引士の略称で、全国から毎年20万人もの受験者がいる国家資格の中でも一番人気の資格です。
宅建士は、不動産取引の専門家、スペシャリストのような人です。
不動産取引は高額になるケースが多く、不動産売買や賃貸物件のあっせんをする際のトラブル防止のため、不動産取引ができるのは専門知識のある宅建士のみが行います。
不動産取引には、不動産に関する知識や売買経験がないお客様ばかりなので、不当な契約を結んでしまうとトラブルになりかねません。
マイホームの購入など、人生で最も高額な買い物と言われる不動産取引。
知識がない高額の買い物ともなれば、お客様がかなり慎重になるのも分かりますよね。
トラブルにならないためにも、知識のないお客様を相手に「契約するために重要となる事項(重要事項)」を説明できるのが宅建士の仕事です。
また、不動産業を営むには、担当者5人に1人以上は宅建士でないといけない設置義務も存在しているので、宅建士の需要は高いと言えます。
宅建士だけができる独占業務
前述の通り、不動産取引を成立させるには宅建士だけができる独占業務があります。
重要事項の説明
物件などの不動産を購入しようとする人・借りようとする人に対して、
- 所有者は誰か
- 登記のこと
- 不動産はどれくらいの広さなのか
- キャンセルの際の取り決め
など、不動産や取引条件に関する重要な事項を契約前に説明します。
これらの説明事項が記載された書面を重要事項説明書(35条書面)と言います。
略して重説(じゅうせつ)と呼ばれることもあります。
後々、思わぬ損害を被らないためにもこれらの重要事項を説明します。
重要事項説明書への記名・捺印
細かい内容で記載されている重要事項。
万が一、トラブルが発生した際に、その場では理解していても口頭で説明しただけではどこにも説明したという証拠がありません。
トラブルを回避するためにも重要事項を説明した証拠として、重要事項が記載された重要事項説明書に宅建士が記名をします。
重要事項説明書をお客様へ交付することで、説明を行った証拠とします。
この記名ができるのも宅建士だけができる仕事です。
契約内容書への記名・捺印
代金や引き渡し時期など、実際に行った不動産取引の契約に関わる重要な部分が記載された書面が契約内容書です。
37条書面とも言われることがあります。
重要事項の説明が終わり、不動産取引が成立したら契約を結びます。
契約に関するトラブルを防止するための重要な書面なので、適切な不動産取引がされたら契約書へ記名して、売主・買主の双方に交付します。
宅建の資格を取得するメリットとは
宅建士だけができる独占業務や設置義務があるので、需要の高い宅建士。
最大規模の国家資格とも言われていますが、実際に取得するメリットは何なのでしょうか。
未経験でも転職に有利
不動産業を営む際には、欠かせない宅建士。
最も活かせるのは不動産業界ですが、それ以外にも活かせる業界はたくさんあります。
また、国家資格への挑戦・努力を評価してもらえますので、未経験でも転職に有利な資格です。
資格手当が支給される
業界問わず、基本的に資格手当のある会社がほとんどです。
金額は会社によりますが、不動産業界であれば3~5万円ほど基本給とは別で支給されます。
入社直後は基本給もなかなか上がりにくいので、手当があるのは嬉しいですね。
独立開業やキャリアアップを目指せる
役職をもらうには宅建士でないといけない、なんて会社もあります。
宅建士であればこなせる仕事の幅も増え、役職を狙えるチャンスも。
資格手当に加え役職手当と年収アップも期待できますね。
また、宅建士であれば自分で不動産取引を成立させることができるので、わざわざ会社に勤める必要はありません。
会社に勤めることで決まった割合の仲介手数料しか支給されませんが、独立してしまえばすべて手に入ります。
ただ、独立開業には多額の費用が発生する上、契約できない月は収入がゼロなんてことも起こり得るためどちらが自分に適しているかしっかり考える必要はあります。
宅建が活かせる業界
宅建は不動産業界のイメージが強いですが、他の業界でも活かせる資格です。
不動産業界
不動産業を営む際に、
- 担当者5名に1名以上は宅建士でないといけないという設置義務
- 不動産取引を成立させるには宅建士だけができる独占業務
というルールがあるため、不動産業界では必須な資格とも言えるでしょう。
不動産管理会社
不動産分譲の仲介から管理まで自社で行う不動産会社が増えています。
管理会社では必須となる国家資格「管理業務主任者」は、宅建と試験内容が一部被るためダブルライセンスが狙いやすい資格の1つです。
住宅メーカーなどの建築業界
自社で建築して売る場合に、宅建士の独占業務が必要になります。
自社内で完結するために、大手企業でも宅建士は重宝される存在です。
銀行・保険会社などの金融業界
実は、業務の一つに不動産取引がある銀行。
不動産を担保に融資するので、宅建士の持つ知識が役立ちます。
また、ほとんどの都市銀行はグループ会社に不動産会社を持っているので、金融業でも活かせる資格です。
小売業界
新しい店舗を出す際に、どの立地にするか検討します。
この判断が今後の経営を左右する重要なポイントでもあるので、そのエリアなどの不動産情報に詳しい宅建士は会社としても必要とされる存在です。
宅建士の仕事に求められるスキルや能力
宅建の資格があれば未経験でも転職できる求人は沢山ありますが、より活躍するためにあった方がいいスキルをご紹介します。
丁寧且つ慎重に仕事をこなすスキル
前述の通り、不動産取引の専門家である宅建士。
細かい内容が記載された契約書を説明するのは宅建士にしかできない仕事なので、トラブルを避けるためにもしっかり説明できる人が好ましいです。
また、大金が動く不動産業界では動じないメンタルも必要になります。
幅広い知識とコミュニケーション力
専門知識のない一般のお客様から経営者・地主まで幅広いお客様がいます。
仕事以外の会話でも分からないことが多い担当者と不動産取引をすることは、不安材料の1つになりかねません。
専門用語を嚙み砕いて説明することもあるので、幅広い知識と会話力が求められます。
土日祝日に働けること
お客様のほとんどが個人の方なので、休日を利用して不動産取引が行われます。
週の中でも土日祝日が忙しくなるため、土日祝日に働けることも重要です。
宅建士になるには登録が必須
宅建の試験に合格しただけでは宅建士として働くことはできません。
- 宅建試験の合格
- 実務経験2年以上もしくは宅建登録実務講習の修了
- 欠格事由に該当しないこと
- 宅建士の登録申請
- 宅地建物取引士証の交付
この手続きがすべて完了して初めて宅建士として働くことができるので、注意しましょう。
実務経験2年以上もしくは講習の修了が必須
登録申請するためには、宅地建物取引の実務経験が2年以上なくてはなりません。
実務経験が2年に満たない場合は、宅地登録実務講習で修了試験に合格する必要がありますが合格率9割以上なので、難易度の低い試験です。
宅建の試験について
試験内容
受験資格 | なし、誰でも受験可能 |
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受験地 | 原則在住する都道府県 |
試験日 | 年1回、10月の第三水曜日 |
試験時間 | 2時間(13時~15時) | 試験形式 | 四肢択一のマークシート方式のみ | 合格基準点 | 相対評価方式(合格点は決められていないが、目安35点前後) |
受験の申し込みは、郵送またはインターネットにて行います。
受験のスケジュール
宅建の受験申し込みは毎年7月初旬ごろに受付が開始されます。
公式ホームページに告知されますので必ず確認しておきましょう。
6月 | 試験日の確定 |
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7月 | 受験申し込み |
9月 | 受験票の送付 |
10月 | 本試験 |
11月 | 合格発表 |
費用
受験料 | 8,200円 |
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登録実務講習 | 20,000円前後 ※受ける講習によって変動します |
資格登録 | 37,000円 |
宅地建物取引士証交付 | 4,500円 |
宅地建物取引士証の更新 | 16,500円 ※5年に一度の更新があります |
宅建の合格率・難易度
不動産適正取引推進機構が公開した2023年度の合格率は17.2%と、例年通りの合格率でした。
独学でも合格している方はいますが、予備校で勉強する方も少なくありません。
受験対策をしっかり行う必要のある資格です。
宅建士の年収
働き方や環境によって年収が変動する宅建士ですが、国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」のデータによると、日本の平均年収が433万円とされており、宅建士はこの日本の平均年収より高いです。
企業勤め
ほとんどの業界・企業で資格手当がありますが、支給額は3万~5万円と会社の規模によって変わってきます。
また、宅建士でないと役職が付かずキャリアアップにも影響が出るでしょう。
大手企業
公的な宅建士の平均年収データがないため、フォーサイトやユーキャンが発表しているデータを参考にしていますが、他の記事を確認しても概ね600万円前後と言えるでしょう。
中小企業
中小企業に勤める宅建士の年収は、約300万円〜約500万円です。
宅建を取得後、資格を活かして転職する人も多くいるため、入社直後の平均年収は300万円からが平均ラインになっています。
独立開業
企業に勤めると決まった分の利益が支給されますが、独立開業の場合はすべて自分の利益となります。
契約がない月は収入がゼロになるリスクも多くあるため、独立開業の平均年収を算出することは困難です。
中には還元率50%など多数の歩合の高い会社もあり、不動産キャリアでも高歩合の求人を多数取り扱っています。
しかし、企業に勤めるより高い年収を得るチャンスが大いにあると言えるでしょう。
宅建資格保有者の声
不動産キャリアでは、宅建の資格を活かせる求人を多数取り扱っています!
年収アップが見込めるだけでなく、業界経験不問や研修制度が充実した求人も多数あるので、毎年多くの求職者が宅建の資格を活かして転職の幅を広げています。
宅建の資格を活かして働こう!
宅建の仕事について、試験概要から年収まであらゆる項目を紹介してきました。
独占業務と設置義務が存在する関係で重宝される宅建士。
不動産業界だけでなく様々な業界でも活躍できる資格なので、転職にも有利です。
こなせる仕事の幅も広くやりがい十分な仕事なので、どの資格を取得しようか迷っている方は是非宅建にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。